新年のご挨拶
2025年(乙巳/きのとみ)年初のご挨拶
理事長・総長 関 健
2025年の干支は乙巳である。1380年前(23回前の乙巳の年)には,乙巳の変(いっしんのへん/飛鳥時代645年)が起こった。中大兄皇子と中臣の鎌足らが蘇我入鹿を宮中にて暗殺して蘇我氏宗家を滅ぼした政変のことである。その後、中大兄皇子は体制を刷新し大化の改新を断行し、歴史が大きく動いた年である。医療界では2025年を目途として、地域医療構想調整会議が、地域における医療機能の分化・連携の構図を確定するという目標を掲げ、会議を繰り返し、全国的にほぼその目標を達成した。そして次は2040年を目途として新たな地域医療構想を策定すべく、検討が始まっている。今度は、病院機能の分化だという。中央での検討会はすでに2024年には始まっており、吾々を代表して四病協(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会:いずれも当法人は会員になっている)からも夫々委員が参加している。
2040年の地域医療構想では,基本的な考え方として,①外来・在宅,介護との連携,人材確保等を含めたあるべき医療提供体制の実現に資するよう策定・推進,②新たな構想を医療計画の上位概念に位置付け,医療計画は新たな構想に即して具体的な取組を進める,となっている。2025年の地域医療構想では,病床機能を中心に策定されてきたが,2040年の地域医療構想では,これまでの「回復期機能」について,その内容に「高齢者等の急性期患者への医療提供機能」を追加し,「包括期機能」として位置づけた。医療機関機能の都道府県への報告が義務付けられ,構想区域ごとに①高齢者救急・地域急性期機能,②在宅医療等連携機能,③急性期拠点機能,④専門等機能に分化するとなっている。また, より広域な観点として,①医療機関:大学病院本院機能,②広域診療機能:高度急性期拠点機能、等が挙げられている。各医療機関は、一つの機能だけでなく複数の機能を選択し報告できるという。
我が法人の目指すところは、②在宅医療等連携機能および④専門等機能であろう。昨年城西病院は、「在宅・訪問診療センター」を立ち上げた。専任の医師を配したが、今年はチームで展開できるよう看護師・ロジスティク(事務及び運転業務)を配し、在宅での検査(心電図・超音波検査等)も行えるよう設備も整える。外来患者の高齢化が進んでおり、訪問診療の需要は増している。専任医師だけでなく、外来担当医もアウトリーチを行う。リハビリテーションもアウトリーチを行う。そして、これらの高齢者の急変時は確実に入院医療を提供する。こうした当たり前の医療を私どもは提供していく。職員の皆さんの覚醒を期待する。